ご挨拶

富士山は世界の憧れ、そして人生を好転させるエネルギーに満ちている

「富士山」はおそらく日本語の固有名詞として世界で最も知られている単語ではないでしょうか。これまで世界各国を訪れるなかで、いかにこの山が世界中の方々にとって憧れの地であるということを痛感してきました。
富士山そのものの魅力もさることながら周囲には美しい森や山々が存在します。富士山を中心に南には駿河湾から美しいシルエットで広がる山麓の森、西には静かな佇まいの天子山地、北には富士五湖を堰き止めるかのように囲む御坂山地と世界的にも珍しい樹海の森、そして東には伸びやかに明るく広がる山中湖を取り巻く山々と、それぞれ大きな特徴と魅力に富んだ森の宝庫なのです。首都圏から近い位置にありながらもこれほど稀有な自然が存在するということはあまり知られていません。もし飛行機で富士山上空を通過する時には是非ともこれらの山々に目を転じて頂ければと思います。
自分自身これまでトレイルランニングの選手としてこれらの森を巡るなかでどれほど気持ちを癒され、前向きな心を取り戻すことで人生の逆境を乗り越えることができたかわかりません。これらの森には心から感謝とともに大きな敬意を抱いております。

ウルトラトレイル・マウントフジと環境活動が倶楽部の“両輪”

この素晴らしい自然をトレイルランニングという新しいスポーツを通して多くの方々に知って頂きたい。そしてこのスポーツの力でこの地域を盛り上げたいという気持ちでNPO法人富士トレイルランナーズ倶楽部は設立致しました。
この山々を舞台に世界中のトレイルランナーが集結する100マイル(160km)のウルトラトレイルレースである「ウルトラトレイル・マウントフジ(UTMF)」の開催と、トレイル整備・クリーンアップ活動といった環境活動がNPO活動の両輪となっております。

富士山麓の最大の“祭り”へ

UTMFは2012年に第一回大会がスタートし、多くのボランティア、地元の関係者の皆さまの熱い思いが実を結び、回を重ねるごとに世界中のトレイルランナーが憧れる大会となりました。将来的にはアウトドアをテーマとした関わる全ての方、そして富士山を取り巻く2県そして多くの市町村のみなさんがワクワクする気持ちで待ち望む富士山麓最大の祭りのような大会にしたいと思っています。そんな夢を抱きつつこれからも全力で盛り上げてゆきたいと思っています。

あなたも環境活動へ参加しませんか

またNPO設立当初からもう一つの大切な使命としてトレイル整備やクリーンアップ活動を取り組んでまいりました。これらの活動はとても魅力に富んでいます。自身で整備し綺麗にしたトレイルを多くのハイカーやトレイルランナーが辿るという高揚感は携わった方にしかわからないものがありますし、この美しい森で仲間達と気軽なコミュニケーションを交わしながら汗を流す時間は日常では得られない贅沢なひとときになるはずです。
長年にわたり関わって頂いたボランティアの皆様のお陰で遺棄されたゴミはずいぶんと取り除かれ、荒廃したトレイルは年を追うごとに安全に快適に辿れる道になっています。

富士トレイルランナーズ倶楽部の使命

トレイルランニングの大会が開催されることで、地域の山が整備され、トレイルランナーのみならず多くのハイカーが訪れるようになり、地域が盛り上がってゆく流れをつくることが、まだまだ新しいこのスポーツがこの国で山の文化として健全なかたちで根付くために大切なことだと思っています。その流れを日本の象徴であるこの富士から大きなムーブメントして全国により強く発信して行ければと思っています。

是非、世界に誇るこの富士山を舞台にした私たちの取り組みにご理解とご支援を賜れれば幸いです。
そしてともに活動し心地よい汗をかいてみませんか。皆さんとともに素敵な時間を過ごせればと思います。

NPO法人富士トレイルランナーズ倶楽部
代表理事 鏑木 毅

富士山の持つ大きな温かい力を感じて

2002年春、東京で外科医をしていた僕は、思い立って富士山北麓にある富士河口湖町に移住してきました。自然環境の豊かな場所で地域医療に従事し、趣味のランニングライフを充実させたいと思い移住先を探していたのですが、いくつかの候補地のなかから、目に見えない力に導かれてこの場所にたどり着きました。そして富士山と共に過ごす愉しい生活が始まりました。

夏になると富士山五合目から山頂に、山小屋の灯りが光の道をつくります。光の道を見上げながら、気持ち良い風に吹かれながらの毎夜のランニングは、経験したことのない気持ち良い時間になりました。街を焦がすような山仕舞いのお祭り(富士吉田・火祭り)で夏が終わると、秋の富士山麓エリアは絵のように美しい紅葉に包まれます。富士山北西麓にひろがる原始林(青木ヶ原樹海)に魅了された僕は、毎日のように世界で一番美しい森を走ります。冬になるとすべてが凍え、静寂に包まれた夜の湖畔で、白銀に耀く富士山とシルバーレイクを眺めながら自分と向き合って走ります。雪が溶けて春になると、息を弾ませ嬉々として富士山麓の山々を駈け巡ります。

2007年に足和田山、河口湖、西湖エリアに「富士山麓トレイルラン」と云うレースを立ち上げました。2009年には青木ヶ原樹海、精進湖、本栖湖エリアに「富士山原始林トレイルラン」と云うレースを立ち上げました。富士山麓の雄大な自然を多くのランナーに感じてもらいたいと思い、地元の皆さんと力を合わせてレースを運営し続けています。トレイルレースを主催することと平行して、荒れた登山道を整備し、山に置き忘れられた大量のゴミを拾う活動を始めました。その頃から同じ想いを持った仲間達が、富士山の周りに集まり始めました。そして2012年にUTMF が始まりました。

実は2002年に河口湖に移住を決めた時、富士山の存在を強く意識していたわけではありませんでした。実際に富士山麓での生活が始まると、富士山の持つ大きくて温かい力を感じずにはいられませんでした。気が付くと富士山とその周囲の山々を走り回る日々が続いていました。そんな僕をいつでも富士山が見守ってくれています。そして富士山に導かれてこの場所にやってきたことを、確信するに至りました。

私たちはウルトラトレイル・マウントフジを主催運営するために、NPO法人富士トレイルランナーズ倶楽部をつくりました。ただし当倶楽部はUTMFを運営するためだけのものではありません。富士山麓の雄大で繊細で貴重な自然と、そこに暮らす人々が作り上げた素晴らしい文化を、多くのヒトに観て感じてもらいたい。太古から受け継いだレガシーを守り、愉しみ、次の世代に繋げていきたい。そのために力を合わせて活動するのです。僕は愛用のチェーンソーを持って、今日も山へと向かいます。一緒に汗をかきませんか。

NPO法人富士トレイルランナーズ倶楽部
副代表理事 福田 六花